39歳の備忘録的日記

39歳の男の思ったこと感じたこと

鬼武者2の世界観

鬼武者2というゲームがあった。

プレステ2の勢いがある2000年代初頭に鬼武者の続編として作られたゲームだ。前作のように芸能人をモデルにしたからか、松田優作をベースにした主人公、柳生十兵衛が幻魔と呼ばれる敵を鬼武者の如く、斬って斬りまくって物語が進む。

鬼武者というタイトルだけあって時代背景は日本の安土桃山時代近辺。織田信長がラスボスという設定だ。織田信長柳生十兵衛が出てくるので、その周りの登場人物も史実の人物だ。

ラスボスの織田信長に辿り着くまで、十兵衛は数人の仲間と関わり、助け助けられ物語は進む。仲間に道中で手に入れたアイテムを渡すことにより、絆値という目に見えないステータスが上昇し、道中にアシストしてくれたり、会話のシーンで介入してくるのだ。そのアイテムもその仲間の趣味嗜好に合わせて渡すと、相手が喜び、あまり合わせないで渡すとそっけない態度を取られる。そのリアクションが面白く、やり込みにも繋がる奥深いシステムだ。

 

不気味の谷という言葉がある。

コンピュータを使い、人間の顔を作る。最初はコンピュータにいかにも作られた顔だが、徐々に本物の人間のような顔に近づけて作るとある一定の箇所で多くの人が不気味に感じるという。人間に近いが、不自然に人工的な箇所も感じると言ったところか。どこかで見たことがあるような気がするが、決して世の中に存在しない顔。おおまかな意味はそんなところだろう。

その不気味の谷がふんだんに使われたゲームがこの鬼武者2だと感じる。勿論、意図的にそういったものがあるとは思えない。当時の最高峰の技術で作られたゲームだ。主人公の十兵衛は前述の通り、モデルがいるため殆ど違和感は無い。しかしその仲間達はおそらく0から使っているため、不気味の谷を感じ易くなる。前述のアイテムの授受シーンもなんだか、真っ直ぐに見られているようで、いまいち視線が合っていない、そんな感覚にもなるのだ。

中でもおれが怖く感じたのがエケイというキャラクターだ。安国寺恵瓊。作中では坊主という出立ちで、槍の名手。僧ではあるが、酒や女に目がないという欲に満ちた性格で描かれている。このエケイ、物語上やはり主人公との関わりはあるのだが…

物語序盤、坑道のような場所でエケイと出会うのだが全く助けてくれないのだ。ヘソを曲げてクダを巻いている。前述の仲間のシステム的にアイテムを渡してある程度喜ばれていても、他のキャラクターの絆値が高い場合、そのキャラクターが優先的に助けに来るのだ。共闘してみんなで戦えばいいじゃんと思ったものだ。

このゲーム、あまり主人公以外にサブの仲間にはそこまでスポットがあたらない。十兵衛が移動しているところには映ってはいないが、何処かしらに仲間達がいたりするのだ。よし!一緒に行こう!などという描写は無い。でも近くにいたりする。でも遠くにいる場合もある。それがよくわからないのだ。

物語後半、十兵衛は扉の鍵が閉まっていて困るシーンがある。すると、たまたま扉の向こう側から、エケイが歌を歌いながらやってくるのだ。因みに十兵衛は今し方、光の道というワープを使って別の離れたところからやってきたばかりだ。

たまたま出現したところにたまたまエケイがいる。十兵衛は扉の向こう側から鍵を探して開けて欲しい旨を伝え、エケイも礼欲しさに受諾する。強敵を倒し、鍵を手に入れたエケイは十兵衛にお礼は酒と女だといい、笑いながら去って行ってしまう。そう、ここでも間接的に助けはするが同行して敵を一緒に倒すということはしない。

同行はしないが、一緒に戦う箇所もある。映っていないところで同行している可能性があるが、そんなところにいたのか、という描写もあり、全くもってわからないのだ。

 

つまり、不気味の谷現象に加え、仲間との薄いのか濃いのかわからない関係性がとても奇妙。それでいて実写さながらのとてもリアルな背景。バックボーンが結構重めな仲間達に対し、妙にコミカルなボスたち。不思議なパラレルワールドにいるような感覚で、おれはこのゲームを楽しんだ。上記は文句でなく、表題の通り、このゲームの世界観が妙に好きなのだ。今でもふと思い出してYouTubeでクリア動画を見てしまうほど。

 

2000年代初頭。世紀末が落ち着き、色々と進化が進んだカオスだった世の中を暗に反映してたりして…んなわけないか。また見てみよっと動画。