39歳の備忘録的日記

39歳の男の思ったこと感じたこと

群青色の森と彫刻と

夜の帳が下りると世界は闇に覆われる。

その少し前、うっすらと目を凝らすと見える世界。色は群青色。

 

かつて箱根彫刻の森美術館に夜のライトファンタジーという名称で、夏限定でイベントが行われていた。おそらく20年以上前のこと。つい先日も年末年始にライトアップのイベントを行っていたようだが、ライトファンタジーは夏に一ヶ月ほど開催していたものと記憶している。

ライトアップイベントは今でこそ、インスタ映えなどで色々な観光地であるが、このライトファンタジーはその先駆けであろう。普段は夕方までの美術館が夜までオープンしている。それだけで特別感がある。

20年前の夏は、今ほど暑くなく、しかも場所は箱根だ。半袖で過ごしやすい夏の夜。虫の鳴き声とchill outのようなジャンルの音楽が小さく聴こえる。昼間とは全く違う世界がそこには広がっていた。広大な敷地にぼんやりと照らし出された彫刻は、言葉なく何かを訴えかける。レーザーで派手に照らされた彫刻は、そのまま空に駆け出しそうな躍動感を感じさせる。

幻想的な不思議なパラダイス。箱根と彫刻が大好きな私は、この限られた空間が大好きだった。

その時のポスターも好きだった。

群青色の森にシンプルに夜のライトファンタジーと白文字で書いてあるだけのもの。そこから色々想像出来るのは嬉しかった。音、匂い、温度と空気感。素晴らしいセンスだ。

数年開催していたようだが、いつの日か無くなってしまった。冬ではなく、是非また夏の夜に開催して欲しい。夏のゆっくりと長いマジックアワーからの群青色。彫刻の森で楽しめる日は来るのであろうか。