39歳の備忘録的日記

39歳の男の思ったこと感じたこと

夏とスーファミと本牧と

1990年。

その頃、おれの周りではスーパーファミコンが徐々に、ゆっくりと確実に所有率が上がっていった。爆発的に流行したファミコンがアップグレードして発売。子どもながらに緻密なグラフィックや奥行きのある音楽の表現は驚いた。

 

1990年の夏のある日。おれの家に友達が泊まりにきていて、友達は我が家になかったスーファミを持って遊びに来てくれた。ローンチタイトルのパイロットウイングスを夜遅くまでひたすらやり続けた。パイロットウイングススーファミの拡大、縮小機能をフルに活かした作品でタイトル通り、パラシュートやセスナ機を操るなど空に特化したゲームだ。なかなか挙動がリアルでマリオのようにボタンを押した分だけ進み、離すと止まるという事に慣れていたおれはその挙動に戸惑いつつも、のめり込んでいった。

夜遅くまで遊んで、次の日も午前中からパイロットウイングスをプレイしていたところに、母親から子どもなんだから外で遊んでこいと、命令された。ここらへんはまだ昭和の考え方なのだった。

おれたちはどこかで仕入れた情報で、本牧にどでかいプールがあるから行ってみないかということになり、本牧という地名だけを元に市営バスを使って本牧のプールに向かった。意外になんとかなるもので、小学生でも無事辿り着けた。

本牧プールは崖と海に挟まれた様なロケーションでなかなか風光明美な場所だった。特に崖が太陽の光に当たり、黄色やオレンジに輝く様は聴覚に訴えかけるセミの鳴き声とミックスされて、これでもかというぐらい夏を主張していた。初めて見た光景に喜びながら、友達と真夏のプールを満喫する。楽しい時間ながらも休憩を挟んでぼーっと休むと、この時間が永遠に続くのではないかと錯覚するほどだった。

少しだけ陽が傾き、そろそろ帰ろうという話になった。散々プールで遊んだのだが、帰ってまたパイロットウィングスをやろうという話ばかりして、帰りの道中はパイロットウィングスのBGMをひたすら歌っていた。おれたちが道中歌っていた中で、バブル期真っ只中の本牧はピカピカに輝いて、スーファミの進化と街の進化がリンクしていた。

 

本牧プールがクローズしてから数年。来年あたりに復活の話もある。

ペリーもマンダリンオレンジと呼んだ、あの崖を間近で見られる日は果たしてくるのか。きっと見ることが出来たのなら、おれはパイロットウィングスのBGMでも聴きながら、1989の夏の日に戻ることが出来るだろう。

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