全国展開しているドトールグループである、エクセルシオールカフェ。今回はエクセルシオールカフェの横浜中華街店の話。
と言っても正直、文言にするほどエクセルシオールカフェに対して思い入れはない。このカフェにではなく、この店舗が入居していたロケーションに私は思い入れがある。中華街東門にほど近い、一階と二階の二層の店舗だった。
かつて私は中華街で働いていた。ブラックな会社ではあったが、働き始めの頃は一時間は休憩をしっかり取ることができ、ここに毎日の様に通っていたのだ。当時はエクセルシオールカフェではなく、スターバックスであった。
夏の暑い日にホールと厨房を行き来し、汗をかいた後のクーラーが効いた店舗と冷たく冷えたアイスコーヒーは格別だった。スターバックスは安定の居心地の良さで、スタンダードジャズと人々の会話がBGMになっていて、休憩にふさわしい、とても素敵な空間を作り上げていた。
毎回窓側の決まった席に座り、暫しの時間を楽しむ…人々の絶え間ない往来や徐々に出来上がってくる向かいのマンションをぼーっと眺めながら身体をクールダウンさせるのだ。
中華街で働いていた時は、とても厳しく、あの頃に戻りたくはないが懐かしく思い出す分には心地良く、辞めた後も何度かスターバックスに足を運び、コーヒーを嗜んだ。
たしかその店舗の十周年記念だったか。たまたま久々に利用すると偶然にもその日、周年記念のイベントにぶつかったのだ。
マイルスディビスが流れる店内で、新作のコーヒーやケーキを少し楽しんだ後は、縁があるなあなんて思いに浸っていた。
それから間も無くして、このスターバックスは閉店してしまった。おそらく、一年も持たずしてだ。ああ、もうあの窓から見える風景だったり、のんびりとした空気は味わえないなと思ったら居抜きでエクセルシオールカフェが出来たのだった。
喜んで行ったのも束の間。コロナの影響だと思うがあっという間に閉店してしまった。
失われた建物というタイトルでいくつか書いてきたが、全ての建物や店舗に思い入れがある。嫌な思い出や辛い思い出も、時間が経てばストレス無く振り返ることが出来、自分の立ち位置を再確認出来るのだ。
またあの窓から景色を見ながら、コーヒーを飲みたいな。